私は、友が無くては耐へられぬのです。しかし、私には、ありません。この貧しい詩を、読んでくださる方の胸へ捧げます。そして、私を、あなたの友にしてください。
詩集〈秋の瞳〉より
八木重吉(1898〜1927)の詩集「秋の瞳」から5編、「花と空と祈り」1編(2曲目の「くさのめが」)、あわせて6編をえらび、組曲とした。彼の詩には何度も作曲を試みたことがあるのだが、作品として完成させたのはこの曲が初めてになる。
日常的な景色の中に心の奥深くのものを投影するような重吉の詩は、音楽によってよりその世界が豊かに広がっていく、すなわちうたわれるのにふさわしい詩だ、と高校生の頃から思っていた。
(後略)寺嶋陸也